夢。

古い長屋に暮らしている。

帰宅すると、朝綺麗に掃除したはずなのに、床にシュレッダーの屑のようなものが散らばっている。掃除機をかけるが一向に減らない。ふと押し入れを見るとそこからシュレッダー屑が次々と吹き込んできている。押し入れの壁の向こう側が共同のゴミ捨て場になっており、壁のすき間から屑が吹き込んでいることに気付く。

尚も掃除を続けていると、いつの間にか部屋がフランク・ロイド・ライト建築のような高級巨大ホテルの一室に変貌している。そこへ職場の社長が入って来てピアノの演奏会の段取りを説明しはじめる。しかし、中学生以来一度もピアノを弾いていないので焦る。部屋の真ん中にある複雑なアールデコ的構造のジャグジー風呂に入りながらいかにして演奏会から逃げるかを思案する。

会場のホールを覗くと、日生劇場が2倍に膨れ上がったようなホールで、舞台では社長がコンテンポラリーダンスを踊っている。社長に気付かれないよう、そっと搬入口から抜け出す。

外に出ると、そこは南米の高原都市のようで、石畳の曲がりくねった道を歩いていくと3歳ぐらいの男の子が三輪車に乗って僕を睨みながら去っていく。ふと谷の向こう側を見ると断崖絶壁の細い道を大勢の人々が連なって楽し気に歩いている。しかし、こちらの道には先程の三歳児以外人が見当たらない。

しばらく歩いていると漢字とハングルが合わさったような文字の看板が見える。小さな古本屋のようで、店内にも奇妙な文字の背表紙の本が並んでいる。入ろうかと思うが、異様に背が高い髪が伸び放題の店主の後ろ姿が見えて恐ろしくなりそっと立ち去る。

人々の行列の方へと向かうがたぶんたどり着けないだろう、と思いながら歩き続ける。

夢にテレフォンショッキングが出てくる。ゲストに清水靖晃という名で立松和平のような風貌の男が出ている。サキソフォニストではなくドラマーのようで、スタジオに大量のゴミを持ち込みそれを叩き始める。打ち込みのような正確さで複雑なポリフォニーを奏でる姿に夢ながら圧倒される。

今年のカンヌ映画祭は政治色が強いとかなんとか。少し前にフェスに政治を持ち込むな的な物言いをちょいちょい見かけたが、今や映画祭はオリンピック並みに政治に過剰接続されているし、接続することにためらいがない。プーチン批判を踏み絵とすることで逆にプーチンを中心に据えてしまっていることに無自覚な映画祭。

数ヶ月ぶりに飲酒。案の定後半から目眩に襲われる。 同年代の人々がみんな大人に見える。自分も完全に中年真っ盛りのはずなのに。